今月のワイン 2016年11月「ワインと郷土料理でフランス一周(3)「アルザス地方」

(1) Crémant d’Alsace Brut
Cuvée Manekineko NV
●生産地フランス アルザス地方Katzenthal村
●格付 Crémant d’Alsace
●生産者 Domaine Clément Klur
●品種 ピノ・ブラン60%、ピノ・オーセロワ40%

(2)Gentil “HUGEL”2014
●生産地フランス アルザス地方
●格付 AOC Alsace
●生産者 Famille Hugel
●品種 シルヴァーナー&ピノ・ブラン 40%、
ピノ・グリ 24%、ゲヴェルツトラミネー 19%、
リースリング 15%、ミュスカ2%

(3)Riesling 2013
●生産地フランス アルザス地方
●格付 AOC Alsace
●生産者 Domaine F.E.Trimbach
●品種 リースリング100%

(4)Riesling Grand Cru Kitterlé 2012
●生産地フランス アルザス地方
●格付 AOC Alsace Grand Cru
●生産者 Domaines Schlunberger
●品種 リースリング100%

(5)Pinot Noir Classic 2012
●生産地フランス アルザス地方
●格付 AOC Alsace
●生産者 Famille Hugel
●品種 ピノ・ノワール 100%

(6)Gewürztraminer Vendanges Tardives 2007
●生産地フランス アルザス地方
●格付 AOC Alsace
●生産者 Domaine Trimbach
●品種 ゲヴュルツトラミネール 100%

今月の一押し

(6)Gewürztraminer Vendanges Tardives 2007

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●生産地フランス アルザス地方
●格付 AOC Alsace
●生産者 Domaine Trimbach
●品種 ゲヴュルツトラミネール 100%

●コメント
リッチでフィネスに優れた残糖70g/Lの最高の果実味と優れた酸を持つ<ヴァンダンジュ・タルディブVendanges Tardives>。
色は、光沢のある淡い黄色。粘性は中程度。
香りは、豊かでフルーティーな、ゲヴュルツトラミネールらしい、ライチの香り。
飲むと、芳醇な果実味が一気に口の中に広がります。飲み進めると、心地よい苦みが表れ、甘くフルーティな中に、ややスパイシーさも感じられます。
焼き林檎やマカロン、花、白桃のコンポート、オレンジのキャンディ、ライチにアーモンドのニュアンス。他のゲヴュルツトラミネールに時折見られるような残糖感はなく、その点は、トリンバックによる造りの良さが感じられます。
●ドメーヌ・トリンバックDomaine F.E. TRIMBACH
400年近い長い歴史を持つトリンバック社はアルザスを代表するワイナリーの一つで、現在は11代目、12代目、13代目のファミリーメンバーがそのワイン造りの伝統と名声を守り続けています。
現ワインメーカーであるピエール・トリンバック氏(12代目)は、2006年「デカンター誌」にて「世界のトップ10白ワインメーカー」の一人に選ばれるほどの高い評価を獲得しています。同社のワインは、デザート・ワインを除いてすべてが辛口で、マロラクティック発酵や樽熟成をしないなど、そのクリーンでピュアなバランスの良い味わいが特徴となっています。
●Gewürztraminer
<Traminer(トラミナー)>という葡萄が北部イタリアから運ばれアルザスで栽培が始まったのが1511年頃です。Gewürzとは、ドイツ語でスパイスつまり香辛料の意味で、ライチの香り、グレープフルーツまたは藤色のバラの香りとも表現される非常に強いアロマに由来します。Traminerは、イタリアアルプス、南チロル地方の村Tramin(現在もイタリアのトレンティーノ・アルト・アディージェ州に人口約3200人の村として存在する)に由来し、現在も南チロルの一部では栽培が続けられています。これが近世になってから、ドイツのファルツ地方を経由して、フランスのアルザスやジュラに持ち込まれたとされています。1870年頃に最初のクローン選別が行われ、それ以来「スパイシーなトラミナー」という意味の<ゲヴュルツトラミネール>と呼ばれるようになり、華やかな芳香を持ったワインが造られます。現在この品種を最も多く栽培し、世界的に知られているのがフランスのアルザス地方です。非常に強い、しかし上品なアロマをその特徴とするこのワインは、リースリング、ピノ・グリとともに、アルザスを代表する高級ワインとなっています。通常は引き締まった辛口に仕立てられます。ドメーヌ・トリンバックでは、樹齢の古い葡萄を使用。ステンレスタンクにて20度で約15日間発酵 樽熟成は行わずに瓶詰めし、数年ほど十分熟成させてから出荷します。
一方、このワインの様に、葡萄を遅摘みにしたり(vendanges tardives)、または、貴腐化した葡萄を手摘みする(sélections de grains nobles)ことにより、極甘口の高級デザート・ワインを造ります。
●ヴァンダンジュ・タルディブVendanges Tardives
「Vendanges Tardives」とは「Vendanges 葡萄の収穫、Tardives遅い=遅摘み」という意味で、葡萄を遅く摘むことで糖度が高い葡萄を収穫することができ、その結果葡萄の糖分がワインに残り、甘く感じるワインを造る事です。<ヴァンダンジュ・タルディブ>は気候条件が完璧にそろったときにのみ生産が可能になります。ドメーヌ・トリンバックでは、ミュエルフォルストとトロッタケールというリュー・ディ(小区画)で栽培された、平均樹齢40年という古木の葡萄から造ります。1haあたりの収量はわずか25hlです。デザート・ワインとして使われる極甘口ワインの造り方には、Vendanges Tardivesの他に、セミヨン種などの貴腐葡萄Pourriture noble sur du sémillon、ドイツ、カナダでのアイスヴァイン製法Eisweinなどがあります。

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